特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅱ章 スキンケア
色素沈着×予防×カバーメイク
土井 久容
1
1神戸大学医学部附属病院 腫瘍センター/がん薬物療法看護認定看護師
pp.454-457
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_454
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はじめに
がん薬物療法により,皮膚の色素沈着が生じることがある.命に直結する有害事象ではないが,心理的苦痛を生じ,著しく生活の質(quality of life:QOL)に影響を及ぼす有害事象の1つである.色素沈着という外見の問題から自信をなくし,外出や他者とのコミュニケーションが減り,生きる楽しみを感じられず,気持ちがふさぎこむこともあるため,その点を理解し,看護ケアにあたる必要がある.
色素沈着のメカニズムは明確にはなっていないが,メラニン細胞が刺激を受け,メラニン色素の産生が亢進し色素沈着が生じるとされている1).手掌や足底に,びまん性に褐色の色素班が生じる.関節の周囲や爪周囲にもみられ,症状が進行すると顔や体も黒ずんでくる.
原因となる抗がん薬の種類としては,フルオロウラシルやカペシタビン,シクロホスファミド,シスプラチン,ドキソルビシン,ドキソルビシン塩酸塩 リポソーム製剤,ブレオマイシン,ドセタキセル,パクリタキセル,パクリタキセル アルブミン懸濁型等の薬剤で生じることが知られている.
色素沈着に対する基本的ケアは,①刺激を避けるといったスキンケア,②日焼け予防,③カバーメイクなどが挙げられる2).
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