増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅳ章 ACP実践に活かす意思決定支援
意思決定支援プロセスを活用したACP支援の実際 ~事例から考える~
小野寺 恵子
1
1地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立墨東病院/がん看護専門看護師
pp.153-155
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_153
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意思決定支援は,患者自身が正しい情報のもと,自分の価値観に沿って医療や療養を決定できるよう支援することである.本稿では,意思決定支援のプロセスを意思形成支援,意思表明支援,意思実現支援に整理し,事例を用いて解説する.
事例
Aさん.69歳,男性.
病名:進行胃がん,膵体部がん
社会的背景:妻と2人暮らし.子どもはいない.
経過〈病気診断から再発診断まで〉:
20XX-3年,会社の検診で便潜血を指摘され,精査の結果,進行胃がんstage ⅢB(T4bN2M0)と診断.術前薬物療法後,胃全摘+胆のう摘出術を施行し,術後補助薬物療法を約1年間実施した.20XX年,経過観察のCTで膵体部に腫瘍を認め,膵体部がんまたは胃がんの再発を疑い,膵体尾部+脾臓合併切除術を施行.術後補助薬物療法4コース実施後のCTで腹部動脈周囲に軟部陰影を認め,胃がんまたは膵臓がんの再発と診断された.
支援の実際
ACPの開始は,病状が不治とわかったときとされている1).そのため,Aさんの再発診断期以降,最期の療養場所を決め,実現までの意思決定支援のプロセスを解説する.
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