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事例の提示
事例 60歳代,女性,肺腺がん
合併症と既往歴
関節リウマチ(レミケード®,メトトレキサート,プレドニゾロン5.0 mg/日を隔日投与内服,他院にて加療中)
変形性膝関節症(両膝人工関節置換術後),糖尿病
現在の状況
1回目の緊急入院までの経過
再発非小細胞肺がん2次治療としてキイトルーダ®(ペムブロリズマブ)療法が導入された.入院にて初回投与され,インフュージョンリアクションの出現なく翌日退院となった.初回投与から8週後,倦怠感と食事摂取困難により,別居の息子に付き添われ,車いすで受診した.「2週間ほど前からだるくなって,まったく食べれなくなった」と訴え,緊急入院となった.
2回目の入院までの経過
退院後の胆道系酵素を経過観察中に高血糖(Glu 288 mg/dL, HbA1c 6.9%,尿糖4+)を認め,糖尿代謝内科にコンサルテーションを行った(初回投与後12週).キイトルーダ®による劇症1型糖尿病発症のリスクを念頭に両科で協働して経過をみていくことになった.肝酵素の低下を確認後,キイトルーダ®の投与を再開し3回目を投与した翌日,倦怠感が強く,1週間後の糖尿病精査目的の入院の準備ができないため延期してほしいと連絡があった.糖尿病代謝内科主治医は,症状が高血糖による可能性が考えられ,放置することによってさらに症状が悪化すること,着の身着のままでも入院が望ましいことを説明し,キイトルーダ®投与2日後に2回目の入院となった.
検査結果
1回目の緊急入院時データ
CRP 1.59 mg/dL,LD 259 U/L,AST (GOT) 76 U/L,ALT (GPT) 59 U/L,γ-GTP 329 U/L,ALP 1,407 U/L,WBC 10.3×103/μL,Glu 163 mg/dL,HbA1c 5.9%
2回目の入院時データ
Glu 217 mg/dL,HbA1c 8.8%,FT4 3.35 ng/dL,FT3 5.1 pg/mL,TSH 0.01 μIU/mL
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