増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
4.先天異常
(4)尿道
重複尿道
細川 尚三
1
,
島田 憲次
1
,
東田 章
1
,
森本 康裕
1
Naozo Hosokawa
1
1大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
pp.260-263
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902604
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1 はじめに
重複尿道および副尿道は稀な先天性奇形である。重複尿道には様々な形態が含まれ,その病因は単一では説明できず,排泄腔膜,生殖結節や尿生殖洞の発生過程での異常や,鎖肛や会陰部脂肪腫など骨盤臓器の異常など様々な原因が推定される。例えば,背面に重複尿道を形成するものは陰茎の背側索や恥骨離開をともなう症例が多く,膀胱外反尿道上裂複合との関連が示唆されるし,尿道が前額面で重複する症例では会陰部脂肪腫や鎖肛など骨盤内臓器異常との関連が深い。
重複尿道のすべての型を網羅した分類は未だない。通常,尿道が盲端に終わっている場合を副尿道,正常尿道あるいは膀胱と交通がある場合を重複尿道と大別している。さらに重複尿道は,複数の尿道が膀胱に起始部をもつ完全重複尿道と,途中で分岐する不完全重複尿道に分けられる。重複する尿道の位置関係からは,矢状面での重複と前額面での重複に分けられる(図1a,1b)。重複尿道の多くは矢状面での重複であり,一般的に腹側尿道が正常な発生過程を経た尿道であり,残る1本の尿道は形成不全尿道であることが多い。最も多くの矢状面重複尿道を網羅した分類を図2に示した1)。
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