連載 もっと知りたい! 放射線療法【2】
多職種で取り組む患者支援の方法を知る ~職場・職域を超えた新たな取り組み~
大田 史江
1
Fumie OOTA
1
1神戸大学医学部附属病院看護部,外来/がん放射線療法看護認定看護師
pp.728-731
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_728
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はじめに
放射線療法は,手術・化学療法(薬物療法)とともにがんの3大治療の一つである.治癒の目的は「根治的」から,症状緩和を目的とする「緩和的」治療まで,幅広くさまざまな患者に治療適応があり,がん治療の重要な役割を担っている.がんと診断されて放射線療法を受けたがん患者が,治療中は,入院・通院を通じて治療実施施設より多くの支援を受ける機会がある.しかし,治療が終了すると社会に戻り自立していく過程で,放射線療法後のサポートを受ける機会が治療中と比較して格段に少なくなる.通常,治療実施施設あるいは関連施設での支援は,放射線療法後5年間フォローすることが多いが,その後は個人のセルフケアに委ねられることも少なくない.その治療後の過程において,再発の不安や晩期症状を抱えながら,これからどうしてよいかわからず不安になることもめずらしくない.さらに,放射線療法を受けた患者とその家族にとって,放射線療法後の疑問や副作用,注意すべき点についてわかりやすく答えてもらえる医療者の存在や治療後の生活に役立つ情報を気軽に知れる場が少ない実情もある.このような背景から,関連施設との連携において,医療者に限らず,多方面の専門家あるいはがん患者自身と協力しつつ幅広くつながりをもちながら,放射線療法を受けた患者とその家族を支援する方法を検討することとした.そのためには,任意団体では限界があり,法人格の取得がその解決方法であると考えた.障壁のないクリアなつながりを求める上で検討したのが,特定非営利活動法人の設立であった.この法人の活動は,職場・職域を超えて多職種で取り組む患者支援であり,その方法について紹介する.
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