連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【18】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの経緯と日本でのがん薬物療法看護への影響・変化を振り返る
菅野 かおり
1
Kaori SUGANO
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.307-312
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_307
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2020~2023年の3年間,健康や生活,勤務形態,経済,医療など私たちの社会生活に大きな影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症は,いまだに収束にいたっていない.未知の感染症からウイルスの同定,感染経路の解明,検査方法や治療薬の開発などによって,少しずつ社会生活も正常化に近づいてきているが,医療現場ではまだ多くの課題が残っている.その一つにがん医療への影響がある.新型コロナウイルス感染症が拡大していった2020年当初は緊急事態宣言の発動によって,がん検診を中断したり,がん治療を延期するなどのケースが多く報告され,がん患者が受ける不利益は計りしれないものとなった.また,感染防止を中心とした医療体制の変更によって,入院治療を受けている患者への面会が制限され,患者の精神的負担は増大していった.2023年1月現在は,いわゆる第8波として新型コロナウイルス感染者数の増加や死亡者数の亢進などもあり,まだまだ医療の現場では混乱しながら患者支援を続けている.
本稿では,新型コロナウイルス感染症流行下の2020年からの3年間の日本におけるがん医療の状況を振り返る.
© Nankodo Co., Ltd., 2023