特集2 いまはこうする がん看護
~骨転移,口腔粘膜炎,テレナーシング~
治療期の口腔粘膜炎の看護ケア ~感染症予防のための当たり前を見直す!~
田邉 沙央里
1
Saori TANABE
1
1慶應義塾大学病院看護部/がん看護専門看護師
pp.37-40
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_37
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はじめに
口腔粘膜炎はがん薬物療法や放射線療法によって引き起こされる主な有害事象のひとつである.口腔粘膜炎は標準の化学療法を受ける患者の5~50%,高用量化学療法を受ける患者の68~98%に発症すると報告されている1).口腔粘膜炎は組織に影響を及ぼすことで,疼痛,出血,味覚障害等が生じ,食事摂取や嚥下などがん患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える.また,口腔粘膜炎は細菌の侵入経路となり全身感染症を引き起こす可能性がある.口腔粘膜炎はがん患者のQOLを低下させるだけでなく,がん治療の継続,化学療法の用量減少,完遂に影響を与えることから,看護師は口腔粘膜炎の予防やケアに積極的に取り組む必要がある2).
そこで,本稿では看護師が主に携わる口腔内の評価やケア方法に焦点をあて,文献を用いて根拠を確認し,根拠に基づいたケアの提供に貢献したいと考える.
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