特集 がん患者に寄り添うコミュニケーション ~事例で学ぶ患者とのかかわりかた~
Ⅱ.コミュニケーションの実際 ~事例編~
怒り① イライラし,家族と率直な話ができなかった患者
村田 涼子
1
1東京都済生会中央病院クリニカルクオリティセンター/精神看護専門看護師
pp.154-158
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_154
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
❁ 事例紹介
Mさん,60代後半,男性.
患者は,1年前に進行胃がん(type2, tub1-2),腹腔内多発リンパ節転移と診断され,SOX療法および開腹幽門測位切除術を施行された.その後,DS療法も施行されたが年末に骨転移を指摘され,BSC (best supportive care)の方針となった.それ以降疼痛コントロール目的で入退院を繰り返していた.
もともと会社経営をしており穏やかな性格だったとのことだが「最近イライラして妻にあたり困っている.なにか悩んでいるかもしれないので看護師さんに話をきいてほしい」と娘から頼まれて話をきくために訪室した.
看護師は,疼痛コントロール不良による痛みや睡眠不足などがないか,医療用の麻薬使用によるせん妄を引き起こしていないかなどのアセスメントをするために訪室した〈処方内容:定期ナルサス®(ヒドロモルフォン)6 mg分1+定時カロナール®(アセトアミノフェン)3 g分3〉.
訪室時,患者はTVを見ていたが声をかけるとTVを消し,迎え入れてくれた.
© Nankodo Co., Ltd., 2021