連載 患者の治療と「食べる・話す」を支える がん患者の口腔ケア 【新連載】
がん診療になぜ口腔ケアが必要なのか
上野 尚雄
1
1国立がん研究センター中央病院 歯科
pp.57-60
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_57
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連載にあたって
口腔の機能である「食べること」「話すこと」は,がん患者の療養生活のあらゆる場面で,その生活の質に大きくかかわる重要な因子です.ところが,がん患者さんには治療中から終末期にいたるまでの長い期間,治療に関連して引き起こされる口腔の苦痛症状や,口腔に起因する諸問題が少なくない頻度で起こります.がん患者さんの「口腔の困りごと」に対する支援のひとつである「口腔ケア」は,徐々にその認知は広がり今や特別なことではなくなりつつあり,今やルーティンで行われる看護業務のひとつです.しかし「この口腔ケアで本当にいいのか?」「具体的にどのようにしたらよいか,いまひとつ自信がもてない」「この口腔ケアに,どれだけの意義,意味があるのだろうか?」といった疑問や不安を抱えながらケアを行っておられる方も多いのではないでしょうか?
本連載では,そのような疑問や不安を少しでも解消し,胸を張ってがん患者さんの「治療」と「食べる・話す」を支える口腔ケアを提供できるよう,明日から使えるがん患者さんへの口腔ケアの知識を述べてまいります.
連載第1回目は,がん診療になぜ口腔ケアが必要なのかを,いま一度整理していきたいと思います.
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