特集 意思決定支援 ~患者の“決める”を支援する考えかたと実践のポイント~
意思決定支援の枠組みとNSSDMの紹介
川崎 優子
1
Yuko KAWASAKI
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.215-221
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_215
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意思決定支援を始める前に
意思決定とは
意思決定とは,一定の目的を達成するために,複数の代替手段の中から1つの選択をすることによって行動方針を決定することである.人は,論理と直感を併せもつ存在であるため,意思決定の問題を理論的に解決することは不可能である.また,人によって「問題」の表しかたや切り取りかたが千差万別で無限にあるため,同一問題であっても,情報の切り取りかた(framing)により意思決定の結果が異なる.このような意思決定のしかたは「状況的意思決定」であり,がん患者の多くはこのような意思決定スタイルである.医学の分野において,診断というひとつの判断が重要な位置づけとなっており,検査や測定の結果など多くの量的側面がある.個別的で特有の状況のなかで意思決定が行われ,量的というよりも質的な側面が優越していたとしても,医学は科学であり,量的・数理的側面をもつという前提の下に,意思決定をとらえている.このような意思決定のしかたは「医学的意思決定」であり,医療従事者の多くはこのような意思決定スタイルである1).
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