連載 看護実践モデルの構築・評価・改善—その方法とプロセス・11
がん患者の意思決定支援に関わる実践の探求—NSSDMの構築を起点とした研究の発展
川崎 優子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.216-223
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580020216
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はじめに
2007年6月,がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため,「がん対策推進基本計画」が策定された。第1期基本計画では,がん診療連携拠点病院(以下「拠点病院等」)の整備,緩和ケア提供体制の強化および地域がん登録の充実が図られた。具体的には,「がん患者の意向を踏まえ,住み慣れた家庭や地域での療養も選択できるよう,在宅医療の充実を図る」「がん患者の在宅での療養生活の質の維持向上を図るため,在宅療養と介護を適切に提供していく体制を整備する」ことが求められていた。当時は,がん患者が治療や療養に関する多様な選択肢の中から,自律的意思決定を行うためのサポートが医療者に求められていた。拠点病院の指定要件として,相談支援機能を有する部門を設置し,病院内外の患者・家族および地域の医療機関からの相談等に対応する体制を整備することが明記されていた。これにより拠点病院には「がん相談支援センター」が設置され,多くの看護職が相談員の役割を果たすようになった。筆者は,当時相談員の一人としてがん相談に携わり,がん患者の意思決定に関する研究課題を見出した。今回は,がん患者の意思決定支援に関わる看護モデルの構築プロセス,その後の実践の探求について紹介する。

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