特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
呼吸困難・息切れ(間質性肺炎)
良田 紀子
1
1大阪はびきの医療センター看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.196-199
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_196
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事例
ペメトレキセドナトリウム水和物を投与開始後1ヵ月ごろに,階段をあがったり,少し無理をして動くと息切れがするようになりました.乾性の咳もでています.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
「息切れ(呼吸困難)」,「乾性咳嗽」,「発熱」は間質性肺炎の主な症状である.ペメトレキセドナトリウム水和物には,間質性肺炎の副作用の発現が3.6%認められている.この事例の場合,治療開始後1ヵ月ごろからの労作時の息切れと乾性咳嗽を認めていることから,ペメトレキセドナトリウム水和物に伴う薬剤性の間質性肺炎が起きている可能性が考えられるが,病状進行の症状も同様であるため鑑別が必要である.
この事例にどう対応する?
息切れ(呼吸困難)や咳嗽の程度を確認し,発熱や倦怠感などそのほかの症状の有無についても観察を行う.呼吸困難の程度が重症な場合や,チアノーゼや胸痛を伴うような場合には早急な対応が必要となるためすみやかに受診するように指示する.重篤でない場合においてもできるだけすみやかに(当日中)受診を促し,呼吸音の聴診や胸部X線検査や胸部CT検査などの画像診断,血液検査(血清,血液像,CRP,KL-6,SP-1A,SP-Dなど),動脈血ガスなどの検査を行い評価・診断へつなげ,必要に応じた症状緩和および治療を行っていく.
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