特集 ここは見逃すな! 症候からアプローチする母体合併症
2.咳嗽・息切れ・呼吸困難
小口 秀紀
1
,
田野 翔
1
H. Oguchi
1
,
S. Tano
1
1トヨタ記念病院周産期母子医療センター産科
pp.1073-1080
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000584
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咳嗽,息切れ,呼吸困難を訴える妊産婦に対する診療で最初に行うのは,呼吸状態の評価と呼吸管理であり,呼吸状態の安定化を図りながら鑑別診断を進める。咳嗽は,持続期間から急性,遷延性,慢性に分類して鑑別診断を行う。急性咳嗽では,その多くを感染性咳嗽が占めるが,頻度の低い非感染性咳嗽にも注意が必要である。急性非感染性咳嗽には,気管支喘息,肺塞栓症,心不全,周産期心筋症など,ときに致命的となる重篤な疾患があり,早期の診断と適切な治療介入を行うことが肝要である。一方で遷延性・慢性咳嗽では,致命的な疾患は少なくなるものの,結核感染症は妊婦では特に重症化が懸念されるため,鑑別が重要である。
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