特集 【各論】服薬アドヒアランスを高める看護
高齢がん患者における服薬アドヒアランス~肺がんで分子標的治療薬を内服する患者の看護を例に考える~
柏木 夕香
1
Yuka KASHIWAGI
1
1新潟県立がんセンター新潟病院緩和ケアセンター/がん看護専門看護師
pp.560-564
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_560
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はじめに
がん治療の選択肢の拡がりは,自宅で内服によるがん薬物療法を受ける高齢者の増加をもたらした.がん治療に対するアドヒアランスは,キュアやQOLの向上といった適切なアウトカムを達成するために重要である1).
高齢者の服薬アドヒアランスは複雑な現象で,認知機能や薬剤のレジメンの複雑さなど多数の関連要因が報告されている1,2).高齢者はがん治療前から併存疾患の治療を受けていることも多く,服薬レジメンの複雑化やポリファーマシー(polypharmacy)が起こりやすい.ポリファーマシーには多くの定義があるが,一般的には,1つあるいはそれ以上の併存疾患の治療のために,同時に複数の薬剤を使用することと定義される3).
本稿では,高齢がん患者のアドヒアランスの特徴を概観し,事例を通して服薬アドヒアランスを高める看護を考える.
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