投稿 事例報告
がん終末期患者の家族の思いの変化 ~看取りのパンフレットOPTIMを用いて現在および今後起こりうる症状を説明した一事例の報告~
多田 みゆき
1
,
杉山 純子
2
,
佐伯 裕美
3
,
伊東 美緒
4
Miyuki TADA
1
,
Junko SUGIYAMA
2
,
Hiromi SAEKI
3
,
Mio ITO
4
1東京都健康長寿医療センター 緩和ケア病棟
2東京都健康長寿医療センター 緩和ケア病棟
3元東京都健康長寿医療センター 緩和ケア病棟
4東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム
キーワード:
看取りのパンフレット
,
家族ケア
,
緩和ケア病棟
Keyword:
看取りのパンフレット
,
家族ケア
,
緩和ケア病棟
pp.325-329
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_325
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がん終末期患者の家族を支援する方法を探求するために,“看取りのパンフレットOPTIM”を用いて現在および今後起こりうる症状を説明し,経時的に(安定期・悪化期・看取り後)インタビュー調査を行い,家族の思いの変化を調べた.原発不明がんで門脈腫瘍塞栓の積極的治療が困難のため緩和ケア病棟に入院となった患者の妻を対象とした.入院6日目の1回目インタビューでは,【そのときを思っての覚悟】が語られる一方で【本当にそのときが来るのかな】と実感がわかず漠然とした状態にあった.入院25日目の2回目のインタビューでは,【近づく最期への思い】【これからが正念場】といった現実的に受け入れようとする感覚が語られる一方で,「でもそのときになったらわからない」という【感情の揺れ動き】が認められた.四十九日後のインタビューでは,【親族への責任】を果たした安堵感,「パンフレットを読んでこういう風になるんだって心の準備が多分できていた」と【パンフレットの効用】や,【故人の思い出】を明るく語りながらも「本心はやっぱり寂しい」と【一人になっての思い】を語っていた.事前に今後起こりうることを知ることで悪化期の衝撃を軽減できる可能性が示唆された.
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