講座
ポスターとパンフレットの考え方
新井 靜一郞
1,2
1日本電報通信社
2企画調査局宣傳技術部
pp.17-20
発行日 1953年8月10日
Published Date 1953/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200566
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ポスターを作る前に考えなければならないこと
衞生教育のための広報活動としてポスターをつくるとしたら,その対象は,一般大衆,地域的には全国という場合が多いに違いない.いつものことながら,この「一般大衆・全国」を対象とするポスターの企画は難しい.というのは,わが国では,ポスターを掲示する場所がはなはだ不完備である.東京・大阪など大都市周辺でこそ,ちよつと出かけようとすると,驛の待合室にも,プラツトホームにも,通路にも,そして電車やバスに乘れば,つい目の先にも数多くのポスターが貼られてあつたり,吊下つていたりするから,都会に住んで,お勤めでもしている人々には,ポスターは,もはや日常生活から切つても切れない位につきまとつているのだが,国民全体からみれば,そのような人々の数は実は如何ほどでもないのである.
交通機関をはなれて,わが家の近く,住宅区に入れば,自分の身の廻りは,看板やポスターから解放されて,ほつとするくらい,ボスター類の掲示場所が少い.交通機関を利用して出かける機会の滅多にない家庭の主婦でも,おつかいに出た時,食料品店,化粧品店,薬局の店さきでポスターを見るとはいうものの,ここを広報活動のポスター掲示場所とするわけにはいかない.交通機関のほかにポスターの掲示場所といえばお風呂屋さんもあるが,これも全国の大衆一般を相手にするとなると必ずしもあてにできる所ではない.
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