第Ⅳ章 各論:がん患者へのケアとエビデンス 世代によるかかわりの違いとエビデンス
高齢者へのかかわり
杉本 知子
1
,
森 一恵
2
1千葉県立保健医療大学健康科学部看護学科
2聖隷クリストファー大学看護学部
pp.211-214
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_211
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複数の疾患を抱える高齢がん患者の特徴
高齢がん患者は,加齢に伴い各臓器の機能1)や予備能力が低下しているため2),多面的な評価を行ったうえで化学療法や手術療法などの侵襲の大きい治療方法の適否が判断される.また,治療開始時に認知機能が正常であっても,疼痛などの影響により生活リズムが乱れたり,入院に伴う環境の変化によって社会的なつながりが低下するため,抑うつやせん妄等の症状がみられる場合もある.したがって,がんの浸潤に伴う直接的な症状を把握するのみでなく,高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)やGeriatric 8スクリーニングツール(G8:表1)等の客観的指標を活用した包括的なアセスメントの実施が求められる.CGAは主に身体的,精神・心理的,社会的側面を評価し3),G8では栄養状態,身体機能,薬剤,心理状態の評価を行うことができる4).なおJapan Clinical Oncology Group (JCOG)高齢者研究班では,高齢がん患者の治療について,以下のように分けてとらえることを提唱している(図1)1).
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