院内管理のレベル・アップ リハビリ
リハビリテーション部門の管理・7
地域とのかかわり
今田 拓
1,2
1拓杏園
2宮城県身体障害者更生相談所
pp.54-55
発行日 1977年3月1日
Published Date 1977/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206179
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リハビリの名を借りた収容
日本の病院はわが国の医療制度の枠の中にあって,閉鎖的にならざるをえない宿命を有している.病院が地域とのかかわりをもつとすれば,一般にはせいぜい外来という不特定の対象しか考えられない.村の役場に住民の健康台帳があって,それがそのまま病院のカルテになっているともいわれる岩手県沢内村の地域保健計画は,まことに理想的な無駄の少ないモデルと思われるが,これが私たちの一般の地域にあてはまるまでには幾多の難しい問題が介在するだろう.
しかしリハビリテーション(以下リハビリ)というひとつの流れの上から考えると,病院は地域とかかわりあいを持たざるをえないのである.近年病院の中にリハビリ部門が設けられたり,リハビリ専門病院が誕生したり,また社会福祉施設や保険施設の中にリハビリを指向する多種のものが次々と作られている.これらの大部分は患者や対象者を収容してサービスすることが前提となっているため,表向きリハビリという標題はあっても,実際は収容ということが現実の目的となってしまっている場合が多い.長期間の入院をしていた結果,遂にその患者の住所は病院の住所と同じになっている場合は決して少なくないのである.このような場合病院は援護のみを行う社会福祉施設とあまり違わない目的しか果たしていないことになる.
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