第Ⅳ章 各論:がん患者へのケアとエビデンス 患者の安楽の追求とエビデンス
栄養管理
井上 泉子
1
1NTT東日本関東病院看護部/がん看護専門看護師
pp.205-210
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_205
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
がん患者の栄養評価とは
がん患者の栄養障害は,腫瘍の影響による代謝性変化に加え,手術や化学療法・放射線療法といった治療の副作用が原因の医原性栄養障害を伴う.低栄養は,体重減少や筋力の低下につながり,免疫力低下や易感染症を高めるなど負のスパイラルを引き起こす可能性がある.進行がん患者の多くは,進行性の体重減少を特徴とするがん悪液質が認められ,がんの進行に伴いしだいに不可逆性の栄養不良に進展していく.さらに,がん患者にとって栄養障害は,身体的苦痛だけでなく,ボディイメージの変化や,食べたいものを思うように食べられないという精神的苦痛につながりQOLの低下を招く.がん患者の栄養管理は,栄養に関連する問題を早期に認識し,悪液質の進展が少ない段階から栄養状態を評価して介入をすることが栄養不良を改善するために必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019