第Ⅳ章 各論:がん患者へのケアとエビデンス 症状マネジメントとケアのエビデンス
免疫チェックポイント阻害薬治療を受ける患者のアセスメント
小澤 桂子
1
1NTT東日本関東病院看護部/がん看護専門看護師
pp.189-194
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_189
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免疫チェックポイント阻害薬と免疫関連有害事象
免疫チェックポイント阻害薬(Immune checkpoint inhibitor:ICI)が登場してからがん治療は大きく変化した.今までのがん薬物療法とは異なる効果の現れかたや有害事象を有するICIの種類は増加してきており,適応も拡大されている.
ICIの有害事象のなかでも,自己免疫疾患や炎症性疾患様の症状を呈するICIに特徴的な有害事象を免疫関連有害事象(Immune-related Adverse Events:irAE)という.
irAEは,ICIによる免疫機能の再活性化が過剰な免疫反応を引き起こすことで生じる.irAEを表11)に示す.
irAEには以下の特徴がある.
・全身のさまざまな臓器に発生する
・各irAEの発現頻度は低い
・治療早期だけでなく,長期にわたって,あるいは治療終了後にも発生する可能性がある
・がん関連の症状に対する抗菌薬や去痰薬などの支持療法薬が契機となり発現することがある
・早期に治療しないと重篤化し,場合によっては致死的になることがある
・初期に発見すれば軽度で回復することが多い
・どの患者にいつ発生するか予測がつきにくい
・予防することはむずかしい
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