第Ⅲ章 各論:がん治療とエビデンス がん治療の最新エビデンス
手術 ~最新の考えかたおよび合併症対策~
加野 将之
1
,
羽成 直行
1
,
松原 久裕
1
1千葉大学大学院医学研究院先端応用外科
pp.156-160
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_156
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がんに対する3大治療には手術療法,化学療法,放射線療法がある.消化器外科領域においては手術がもっとも根治性が高く,集学的治療が進歩した現在においてもがん治療の中心であることには変わりない.19世紀に外科手術が行われるようになった当初はいかに安全に手術を行うかが重要であったが,安全性が確保されるようになるとリンパ節郭清を中心とした根治性を求める拡大手術が行われるようになった.近年では術後QOLを考慮した機能温存手術の開発が各領域で進行しており,内視鏡手術に代表される低侵襲手術が徐々に趨勢となっている.
手術治療の根底にあるのは常に根治性であり,根治性が損なわれることはあってはならない.一方で不要な侵襲によって術後QOLを低下させてもならない.このバランスをいかに取るか,つまりどのような病態(がんの進行度)の患者にどういう手術を行うべきかが重要である.
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