投稿 事例報告
自殺したがん患者に関与した医療者への精神的ケアを目的としたデスカンファレンス ~医療者の悲嘆ケアとしての意義~
梅田 節子
1
,
長野 徹
2
,
李 美於
3
,
新城 拓也
4
Setsuko UMEDA
1
,
Toru NAGANO
2
,
Mio RI
3
,
Takuya SHINJO
4
1神戸市立医療センター中央市民病院/がん看護専門看護師
2神戸市立医療センター中央市民病院
3神戸市立医療センター中央市民病院
4神戸市立医療センター中央市民病院・しんじょう医院
キーワード:
がん患者
,
自殺
,
デスカンファレンスキーワード
Keyword:
がん患者
,
自殺
,
デスカンファレンスキーワード
pp.447-450
発行日 2018年5月20日
Published Date 2018/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango23_447
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本稿の目的は,患者の自殺に対して,かかわった医療者の悲嘆ケアとしてのデスカンファレンスの意義に関して明らかにすることである.患者A氏は皮膚がんで治療中であったが,自宅で自殺を図り亡くなった.医療者に衝撃,悲嘆が強かったことから死亡後19日目にデスカンファレンスを開催した.参加者はA氏にかかわった医師,看護師の計9名であった.今回,自殺の原因を探索しない,自殺予防の検討をしない,誰も責めないという約束のもとデスカンファレンスを実施した.各参加者は,A氏のエピソードを語ることで,患者像の再構築ができた.A氏より「死にたい」「早く退院したい」と聞いていたため後悔の気持ちをもっていた参加者は,デスカンファレンスを通じて,〈Aさんらしさを認める〉〈もうつらい治療を強いることはない〉〈支えていた家族の存在の大きさ〉という認識がもたらされた.参加者の自由な語りと支え合いを保障するデスカンファレンスは,参加者の悲嘆を軽減する可能性があると考えられた.
© Nankodo Co., Ltd., 2018