連載 外科医の私論
がんの集学的治療のすゝめ
藤原 俊義
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域消化器外科
pp.790
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka86_790
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1991~1993年に米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターに研究留学した.研究ミーティングが延びたある日のこと,メンターである胸部外科の臨床医が,途中でミーティングを打ち切ってMDC(multidisciplinary conference)に行くと言って教授室を出て行った.恥ずかしながら当時,「multidisciplinary」の意味を理解していなかったが,興味があったので付いて行ってみると,階段教室風の大きな部屋に多くの医師が集まっていた.レジデントによる食道癌の患者の症例提示が始まり,続いて放射線科医が胸部X線像やCTの画像を説明し,腫瘍内科医が薬物療法について,胸部外科医が手術について詳細な経過を示し,最後に病理医が切除標本と病理組織について解説していた.いわゆる診療科横断的な症例検討会であった.以降,時々余裕がある時にはMDCに参加するようになった.
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