書評
名市大ロボット消化器外科手術のすべて[Web動画付]
宇山 一朗
1
1藤田医科大学先端ロボット・内視鏡手術学講座
pp.836
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_836
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- 文献概要
筆者が1985年に医学部を卒業したころの手術テキストの多くは,シェーマと詳細不明な遠景の術中写真に,むずかしい文体で手術手技解説が記載されているのみであった.もしくは,指導医が推薦するテキストはとても高額な洋書が多かった.先輩にすすめられるままに有名な洋書を購入したが,英語が不得意な筆者は,本文はほとんど読まず,いや実際は読んでも英語が理解できずに,シェーマとその説明文のみを読み勉強したものである.その結果,手術は指導医の手術技量の範囲を超える修学が困難であった.当時の学会発表では動画発表は特別であり,撮影・編集にも高額な費用がかかるため,通常の発表は静止画のスライドによるものがほとんどであった.よって,著名な外科医の手術を学ぶには,施設へ見学に直接いく必要があった.現に筆者は,国立がんセンター中央病院などに直接出向き,手術見学を行い,必死にメモをとりエキスパートの手術を学ぼうとした.しかし,当時の開腹術の見学は,現在の内視鏡手術の見学とは異なり,術野もよくみえず,質問することも萎縮してままならず,手術手技の詳細を学ぶことは至難の技であった.
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