特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅵ.ステント・チューブ類
中心静脈留置カテーテルの種類と挿入法
福島 亮治
1
1帝京大学外科
キーワード:
中心静脈カテーテル
,
皮下埋め込み式ポート
,
PICC
Keyword:
PICC
pp.1259-1265
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1259
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中心静脈カテーテル挿入が必要となるのは一般に,①末梢静脈から投与できない栄養液や薬剤を投与する場合,②静脈確保が必要で末梢静脈が確保できない場合である.さらに中心静脈圧測定や透析用ラインなどの目的で挿入されることもあるが,本稿では主に①,②について解説する.
中心静脈は血流が豊富なので,投与した薬剤はすぐに希釈される.したがって,高濃度の糖やアミノ酸を含み浸透圧が高い中心静脈栄養(TPN)用の栄養液や,酸性やアルカリ性が強い薬剤,血管収縮性が強い薬剤(カテコラミンなど)も投与することができる.また,輸液が血管外に漏出する危険性がほとんどないので,血管外に漏出すると重篤な合併症を起こす抗腫瘍薬なども比較的安全に投与することができる.
中心静脈カテーテル挿入は,非常に有用な手技である一方,一定の確率で種々の合併症が発生するので,まずその適応を十分に吟味する必要がある.また,栄養や薬剤の投与期間,使用場所,患者側の要因などを考慮してカテーテルの種類や挿入経路を選択する.
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