特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅳ.ステープラー
下部消化管手術に用いる自動縫合器・吻合器の使用法
-腹腔鏡手術を中心に
大塚 幸喜
1
,
木村 聡元
1
,
松尾 鉄平
1
,
佐藤 慧
1
,
畑中 智貴
1
,
近藤 優
1
,
高清水 清治
1
,
八重樫 瑞典
1
,
藤井 仁志
1
,
佐々木 章
1
1岩手医科大学外科
キーワード:
腹腔鏡下大腸手術
,
自動縫合器
,
自動吻合器
Keyword:
腹腔鏡下大腸手術
,
自動縫合器
,
自動吻合器
pp.1202-1209
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1202
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大腸癌に対する外科治療でもっとも重要なことは根治性である.その根治性を高めるべく技術向上のために,われわれ外科医は日々切磋琢磨してきた.特に,1992年わが国ではじめて大腸癌に対し腹腔鏡手術が施行されて以降,これまで先人の努力により本手術の定型化は徐々に標準化されつつある.
一方,合併症に対する対策も議論されてきた.特に大腸領域では,直腸癌に対する縫合不全はこれまで数多くの学会や研究会で取り上げられ,手技の工夫やデバイスの使用について報告されてきた.その背景には,直腸癌術後の縫合不全は,「入院期間の延長」,「治療費の増加」,「補助化学療法への遅延」などの短期成績への影響
当教室では1997年から大腸癌に対する腹腔鏡下手術を開始し,2016年12月までに1,901例に施行しており,現在全大腸癌手術の95%が腹腔鏡手術である.
本稿では,腹腔鏡下大腸切除術の中でも結腸癌と直腸癌の「切離・吻合」操作に焦点をあて,手技の工夫や安全なデバイスの使用について解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2017