Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅵ.膝関節
急性炎症性膝関節炎に対する局所麻酔下関節内洗浄
Arthroscopic lavage with local anesthesia in acute inflammatory knees
井上 三四郎
1
,
松原 弘和
2
,
名取 孝弘
2
,
井上 隆広
1
,
岡本 重敏
2
,
中家 一寿
2
S. Inoue
1
,
H. Matsubara
2
,
T. Natori
2
,
T. Inoue
1
,
S. Okamoto
2
,
K. Nakaie
2
1宮崎県立宮崎病院整形外科
2福岡東医療センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Miyazaki Prefectural Miyazaki Hospital, Miyazaki
キーワード:
arthroscopy
,
lavage
,
acute inflammatory knee
Keyword:
arthroscopy
,
lavage
,
acute inflammatory knee
pp.218-222
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_218
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は じ め に
急性炎症性膝関節炎は,整形外科の日常臨床において頻回に遭遇する病態の一つである.たとえば関節リウマチ(RA)や偽痛風という診断がすでに確定し,膝関節炎のエピソードを繰り返している患者ならば,診断に迷うことは少ない.しかし,診断未確定患者を治療する場合は,鑑別診断から始めなければならない1~7).
急性炎症性膝関節炎の鑑別診断を行う際にもっとも注意を払うべき疾患は,化膿性関節炎である.化膿性関節炎の鑑別は,病歴聴取,身体所見や採血のみでは困難であり,関節液検査や細菌学的検査が必要となる1~7).そのため,化膿性関節炎を疑った場合はすみやかに関節穿刺を行い,関節液検査や細菌塗抹検査の結果をもとに治療方針を決定しなければならない.しかしながら,夜間休日いわゆる時間外に関節液検査や細菌学的検査が施行可能な施設は限定される.さらに,診断上もっとも重要である細菌培養検査はリアルタイムでは結果が判明せず,初診時には診断の参考にならない.
われわれは,何らかの理由ですぐに関節液検査や細菌学的検査を行うことのできない急性炎症性膝関節炎の患者に対し,局所麻酔下に膝蓋上嚢から関節鏡を挿入し,大量の生理食塩水による関節内洗浄を行っている.
本稿において,その実際を紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020