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は じ め に
動作解析は,これまで,反射マーカーを身体に貼付して用いるモーションキャプチャシステム(motion capture:MC)や床反力計が主に用いられてきた.MCや床反力計は,非常に正確な測定ができる反面,多数のカメラと一定の歩行路が必要で,固定された測定場所において行わざるをえず,携帯性はなく,どこでも測定できるわけではない.また,操作やデータ解析が非常にむずかしく,さらに高価で,だれでも気軽に利用できるわけではない.
最近,ランニングフォームとスポーツ障害の関係について調べたいくつかの報告がなされている.股関節に関しては,過大なpeak hip adductionなどがスポーツ障害に関係すると報告された1).膝関節に関しては,過大なpeak knee adduction2),peak knee internal rotation1)などがスポーツ障害に関係すると報告された.足関節に関しては,過大なpeak ankle eversionなどが報告された3,4).これらのランニングフォームの解析は,ランニング障害予防につながる可能性をもつことが予想され,きわめて重要なことと認識されてきている.
最近,一般的に,ロコモティブシンドロームやメタボリックシンドローム予防のためのウォーキングが盛んとなってきている.ただ,歩行時において異常な歩行フォームが存在することがわかっており,この歩行パターンがさまざまな障害を引き起こす可能性がある5).
もし,だれでも簡単に使用でき,データ解析も自動でできるような携帯型の安価なセンサを利用できれば,アスリートにとってはスポーツ障害を引き起こすような危険なフォームを早期発見し,フォームを矯正することによってスポーツ障害を予防できる可能性がある.また,一般の人々にとっても,安全なウォーキングを行い,健康寿命の延伸につながる可能性があるといえる.
われわれは,この目的を達成するために,新しいウェアラブルセンサ(wearable sensor:WS)を企業(JINS社)と共同開発した.本稿では,歩行時の異常ウォーキングフォームをリアルタイムで認識する試みについて述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2019