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は じ め に
整形外科治療において,先天性疾患や外傷,あるいは加齢などにより高度に変形した骨を矯正する手術が必要となることがある.その際,まず変形した骨を切断分割し,分割された骨の位置関係を変えて正常状態に矯正後,内固定材で固定する(矯正骨切り固定術).この手術では正確な矯正と強固な内固定が術後成績を左右するが,2方向からの単純X線像で作図を行いマニュアルで手術を行う従来の方法では,特に回旋変形の正確性に検討の余地があった1,2).
そのため,手術を正確に行うための手法として,患者のCTデータからコンピュータプログラム上で3D骨モデルを作成し手術をシミュレーションする方法が用いられるようになってきている.これにより三次元的な変形の矯正方向を認識し,実際に手術を行う際に重要な解剖学的特徴点を意識することが可能となった.数々の画像処理ソフトの開発に伴い,すでに一般化されつつある.
また,高精度な3Dプリンタの開発,普及に伴い,患者の骨形状にフィットするようなカスタムメイドガイドが開発されてきた.この手法をシミュレーションと組み合わせることで計画どおりの手術を行うことが可能となり,術後の成績を改善することが期待されている3,4).
われわれも以前から三次元積層造形法の一種であるチタン粉末焼結積層造形法(selective laser melting法)を用いて,側弯症や脊椎再手術例での椎弓根スクリュー刺入5,6),股関節の骨切り術7),膝関節周囲骨切り術や前弯,手指変形治癒などにチタン製カスタムメイドガイドを作成し臨床使用してきている.
本稿では,臨床上遭遇しやすい前腕骨変形治癒に対する矯正骨切り術に焦点をあてて,各代表症例に対する手術手技ならびに京都大学式骨切りカスタムガイドの特徴を述べる.
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