特集 高齢者(75歳以上)の運動器変性疾患に対する治療
上肢の変性疾患に対する高齢者治療 手関節・手の変性疾患 高齢者の母指手根中手関節症に対する治療 Thompson法による関節形成術の検討
南野 光彦
1
,
大園 翔太
1日本医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
局所解剖学
,
関節可動域
,
関節形成術
,
握力
,
治療成績
,
大菱形骨
,
腱固定
,
つまみ力
,
長母指外転筋
,
母指CM関節症
Keyword:
Arthroplasty
,
Anatomy, Regional
,
Radiography
,
Range of Motion, Articular
,
Treatment Outcome
,
Hand Strength
,
Trapezium Bone
,
Pinch Strength
,
Tenodesis
pp.22-25
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2018088636
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
進行した母指手根中手関節症に対して大菱形骨全摘出、長母指外転筋腱を用いたtendon suspension arthroplasty(Thompson法)を行った75歳以上10例11手(平均年齢77.6歳)の治療成績を調査した。術後経過観察期間は平均12.8ヵ月であった。全例で除痛が得られ、quick disabilities of the arm, shoulder and handは術前平均44.3点から術後平均15.3点に改善し、高い満足度が得られた。橈側外転、掌側外転、握力、ピンチ力は術後著明に改善した。大菱形骨スペースを基節骨長で除したtrapezial space ratioは術直後平均0.31から最終調査時平均0.20に減少し母指列短縮を認めたが、術後1ヵ月以降はほとんど減少なくsuspensionは維持されていた。Thomsen法は解剖学的および生体力学的に母指手根中手関節の安定化に重要なdorsoradial ligamentとdeep anterior oblique、1-2 intermetacarpal ligamentの3靱帯すべてを再建する有効な術式であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017