発行日 2003年4月25日
Published Date 2003/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2003250296
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49歳女.右臀部に右下肢への放散痛を伴う小児頭大の腫瘤が出現した.X線像で右腸骨から仙腸関節に溶骨性陰影を,CTで腸骨外側骨皮質の破壊を伴う骨外腫瘤が認められた.生検病理所見で比較的豊富なコラーゲンを含む間質と紡錘形の細胞から成る骨肉腫と診断された.動注カテーテル設置術を施行し,抗癌薬化学治療としてフルオロウラシル(FU),アドリアマイシン(ADM),シスプラチン(CDDP),カルボプラチン(CBDCA)を使用し,FUは2年8ヵ月間継続した.6ヵ月後からは経静脈的全身投与を行い,イホスファミド,CDDP,ビンデシンによる併用療法や,ADM,CDDP,CBDCA,シクロスファミドの単剤投与を定期的に施行した.治療開始2年頃から画像所見で腫瘍辺縁に硬化像が確認され,その後全体が硬化縮小した.病理所見では間質の変性は認めたが,viableな細胞は依然みられた.治療開始後10年2ヵ月の採取組織では明らかな腫瘍細胞を確認できなかった.患者は疼痛もなくADLに支障なかったが,61歳時に心筋梗塞で突然死した
©Nankodo Co., Ltd., 2003