発行日 2005年3月20日
Published Date 2005/3/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2005116820
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造血幹細胞移植は,難治性の血液疾患においては根治を目的とする唯一の治療法である.今回は,移植体験患者の視点に立ち,その後の生き方に与えた影響はどのようなものなのか,また移植を乗り越えられた要因にはどのようなものがあるのかを探求することを目的に質的研究を行った.対象は,造血幹細胞移植を受けて,約3年再発がなく家庭で生活を営んでいる患者5名であった.方法は質的研究であり面接ガイドにより,患者の言動をコード化し集めたデータから病気体験が生き方に及ぼす影響を類似性に従い内容分析の手法を用いて,カテゴリー化した.その結果,造血器移植体験が生き方に与えた影響は【深められた重要他者との関係】【自己の生きる信条をもつ】【自己の成長を自覚】の3カテゴリーと9サブカテゴリーが導き出された.移植を乗り越えた要因は《闘病生活を支えられている実感》《時間が問題解決》の2カテゴリーと4サブカテゴリーが導き出された.病気を乗り越える際には,時間のみではなく,同病者の協力が必要とされており患者会や体験者のさらなる活用が不可欠であることが示唆された
©Nankodo Co., Ltd., 2005