心臓の虚血?-病態生理と臨床のはざまを埋める 治療・予防 王道を学べ
一次予防 長期間のリスクスコアは真値を推計する? 個人の予測と集団の予測
岡村 智教
1
1慶応義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学
キーワード:
Bayesの定理
,
一次予防
,
冠動脈疾患
,
リスク評価
Keyword:
Bayes Theorem
,
Coronary Disease
,
Primary Prevention
,
Risk Assessment
pp.439-444
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017135861
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
欧米諸国と比較して日本人の冠動脈疾患の発症率は非常に低いため,Framingham risk scoreなどをリスク評価に用いることはできない.10年ほど前から本邦の地域コホート研究に基づいた冠動脈疾患の絶対リスク評価ツールが次々と公表されている.ただし予測するアウトカムの定義はさまざまであり,これは地域における疫学調査の困難さを反映している.そして各ツールにはそれぞれ固有の長所や短所があるため,その限界を踏まえたうえで当面の目的に最も合致したツールを使うべきである.現状では個人の冠動脈疾患の発症を予測するのは難しいが,予測ツールでハイリスク者を選定して危険因子の管理を適切に行うことによって,集団全体の患者数を減らすことが可能である.
©Nankodo Co., Ltd., 2017