糖尿病治療 通説への挑戦 進化する科学知識は既存の糖尿病治療学に何を伝えたいのか 治療目標
高齢者糖尿病におけるHbA1c目標値
七尾 道子
1
,
秋下 雅弘
1東京大学 大学院医学系研究科加齢医学講座
キーワード:
Glycosylated Hemoglobin A
,
血糖降下剤
,
心臓血管疾患
,
認知症
,
転倒・転落
,
低血糖症
,
糖尿病
,
リスク
,
診療ガイドライン
Keyword:
Accidental Falls
,
Cardiovascular Diseases
,
Dementia
,
Diabetes Mellitus
,
Glycated Hemoglobin A
,
Hypoglycemia
,
Hypoglycemic Agents
,
Risk
,
Practice Guidelines as Topic
pp.553-557
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015158978
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超高齢社会にあたり,とくに加齢とともに頻度が上昇する糖尿病の治療は,ますます重要な課題になると考えられる.高齢者は多様であり,個々人の合併症や余命,価値観や人生観を含めた精神面,経済状況,社会的活動状況を考慮して治療目標を決定する必要がある.合併症予防を見据えた厳格な血糖管理が困難な場合でも,低血糖を避けつつ,合併症の進行抑制,失明や透析などの末期的状況の阻止,急性合併症予防など多様な目標が設定されうる.日本を含め各国の団体が高齢者糖尿病の治療ガイドラインを提唱している.健常高齢者と虚弱な高齢者とで群を分け,健常高齢者ではHbA1c 7.0~7.5%,虚弱な高齢者では7.6~8.5%を目標にすること(とくに身体機能の低下した高齢者では血糖管理目標はより高める)が共通事項となっている.ただ,虚弱や認知症を抱える超高齢糖尿病患者の管理目標値についてはエビデンスが乏しく,さらなるエビデンスの構築が期待される.
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