発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015093952
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症例は84歳男で、自発性や食欲の低下、傾眠傾向が出現し、発熱も生じた。血液生化学検査で貧血、血小板低値、尿素窒素・CRP上昇を認め、髄液検査では細胞数や糖は基準範囲内で、蛋白は軽度上昇していた。入院翌日に右片麻痺および四肢の間代性痙攣が出現し、脳MRIの拡散強調画像で左側の放線冠や視床、前頭葉や頭頂葉の皮質、両側後頭葉に高信号領域を認めた。脳波では全体的に低振幅および徐波化を認め、左前頭・中心部に鋭波が散発し、前頭葉を中心に1Hz以下の周期で同期性電位を認めた。単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎を考え、aciclovirを開始したが意識状態や右麻痺は改善せず、1ヵ月後のMRIでは脳梁膨大部や左側の島、両側側頭葉内側にも高信号領域を認めた。髄液中のHSV-DNA陽性が判明し、その後陰転化したが、髄液細胞数、HSV-IgG、IgM抗体の上昇を認めた。意識障害は遷延し、入院約40日後に療養目的で転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015