発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015034373
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症例は85歳女性で、発熱のため受診し肺炎と診断された。パフォーマンスステータス3で、医療介護関連肺炎と考えられた。胸部単純X線で両側肺の浸潤影、胸水を認め、胸部CTで左舌区、右中葉にconsolidationが認められ、周囲にスリガラス状陰影がみられた。心エコー図検査で軽度の大動脈閉鎖不全、駆出率64%、左室急速流入血流速度/僧帽弁輪最大拡張早期運動速度27.2と拡張不全を認めた。喀痰検査では一般細菌で有意なものは検出されず、抗酸菌塗抹陰性でPCR法で結核菌は陰性であった。肺炎に対し、スルバクタム/セフォペラゾン合剤、アジスロマイシン、メロペナムを投与され、14病日にCRPは下降した。しかし、胸部CTでconsolidationは改善したがフロセミド投与によって胸水が増加し、両側上葉の小葉間隔壁肥厚、スリガラス状陰影が著しく増強した、呼吸困難も増強しており入院となった。両側肺野に湿性ラ音が認められ軽度浮腫を認めた。心電図では一源性心室性期外収縮が認められた。胸部単純X線で心拡大がみられ、両側肺野は著しく透過性低下がみられた。心不全による肺水腫悪化が考えられドリペネムを投与し補助療法としてポリエチレングリコール処理免疫グロブリンを投与した。胸水が減少し、呼吸困難は改善し両側上葉の小葉間隔壁肥厚、スリガラス状陰影は消退し、肺炎とともに肺水腫も治癒した。
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