発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015034372
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は59歳女性で、糖尿病と診断され、ミチグリニド投与を受けたが血糖コントロール不良のため入院加療となった。インスリン治療としてglargine導入を受け、メトホルミン、ミグリトール投与を開始され、退院後はglargine 22単位のBOT療法で経過観察された。血液一般検査で異常を認めず、生化学検査でAST 238、ALT 258、ALP 459、γ-GTP 111(IU/L)と著しい肝機能障害を認めた。随時血糖値は131mg/dL、HbA1c 6.7%と血糖コントロールは良好であった。腹部エコー検査を施行し、肝炎ウイルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体陰性で、LDLコレステロール低値のため施行した甲状腺機能検査も正常であった。薬剤性肝障害を疑い、glargineをdetemirに変更しミグリトールを中止した。肝機能障害下での乳酸アシドーシス発症の危険性を考慮しメトホルミンを中止した。その結果、肝機能は改善したため血糖コントロールのためメトホルミンを再開した。しかし、12週後にAST 118、ALT 102、ALP 458(IU/L)と再増悪を認めたためメトホルミンによる薬剤性肝障害と診断し投与を中止した。中止後、肝機能は経時的に改善し、トランスアミナーゼは3ヵ月後に正常化し、経口血糖降下薬投与は行わず、aspartとdetemirによる強化インスリン療法で経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014