骨折予防を目指した積極的な骨粗鬆症診療 骨粗鬆症の病因と病態に関する新たな展開
エストロゲン
今井 祐記
1
1東京大学分子細胞生物学研究所 骨関節疾患制御研究分野
キーワード:
Estrogens
,
エストロゲン代償療法
,
Progestins
,
骨粗鬆症-閉経後
,
Estrogen Receptors
,
多剤併用療法
,
破骨細胞
,
ノックアウトマウス
,
Selective Estrogen Receptor Modulators
Keyword:
Drug Therapy, Combination
,
Estrogens
,
Osteoclasts
,
Receptors, Estrogen
,
Progestins
,
Osteoporosis, Postmenopausal
,
Estrogen Replacement Therapy
,
Mice, Knockout
,
Selective Estrogen Receptor Modulators
pp.633-636
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013155550
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
エストロゲンはテストステロンからアロマターゼにより合成され,エストロゲン受容体と結合して,その作用を発揮する.エストロゲン欠乏により,骨吸収の亢進を伴う骨量低下が引き起こされる.エストロゲン欠乏による骨量低下は,エストロゲンによる間接的および直接的な骨量維持作用の総和の破綻により生じる.間接的作用は,免疫系細胞を介した炎症性サイトカインや卵胞刺激ホルモン(FSH)による骨吸収の増加などである.直接的作用は,エストロゲン受容体を介したFas ligandの遺伝子発現調節を伴う破骨細胞寿命調節などがある.ホルモン補充療法(HRT)は骨量増加・骨折予防効果を認めるものの,乳がんや血管イベントなど有害事象もある.選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)には,骨量増加・椎体骨折予防効果を認める.
©Nankodo Co., Ltd., 2013