発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013083892
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64歳男。気管支喘息にて加療中に汎血球減少を指摘された。骨髄穿刺ではドライタップで、骨髄生検では線維化像が広範囲に認められたが、骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症(APMF)を示唆する赤芽球系、骨髄球系、巨核系前駆細胞の一様な増加は認められなかった。生検のタッチ標本では骨髄全有核細胞の29.9%が芽球で占められ、細胞の異型性の存在は明らかであったが、正確な判定は困難であった。芽球はペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色は陰性で、CD13、33、34、HLA-DRは陽性であった。腹部CTで肝脾腫は認めず、APMF、PMF、急性巨核芽球性白血症(AMKL)は否定的で、線維化を伴うAMLと診断した。発熱はステロイド投与で解熱し、JALSG-AML 201に準拠し寛解導入療法を施行した。汎血球減少は改善したが、骨髄穿刺ではドライタップであった。地固め療法を施行したが、ドライタップであった。2コース目の骨髄穿刺で初めて吸引可能となり、芽球の消失が確認さらた。生検では線維化をわずかに残すのみであった。さらに2コースを追加し治療を終了し、血小板数は低下したが、骨髄穿刺ではドライタップであった。芽球増加は認めないが、再び線維化を認め汎血球減少が進行した。ステロイド投与は奏効せず、低用量分化誘導療法(CAG療法)でも線維化は改良せず、再度のCAG療法も効果なく、全経過約13ヵ月で死亡した。
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