発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013083893
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76歳男。高血圧性腎硬化症による透析、脳出血後嚥下障害による胃瘻造設で経管栄養、誤嚥性肺炎により加療中であった。中心静脈栄養に切り替え抗菌薬治療を行ったところ改善したが、汎血球減少が出現し、増血薬に反応せず紹介となった。意識清明であったが寝たきりで、眼瞼結膜に貧血および四肢に紫斑の点在が認められた。WBC、Hb、Pltの3系統の低下を認め、BUN、Crは低下し、血清銅、セルロプラスミンは顕著な低下を認めた。骨髄塗抹標本では、巨核球は増多しM/E比は拡大、赤芽球の著減、Wright-Giemsa染色では、顆粒球の成熟障害および空胞形成があり、鉄染色で環状鉄芽球も認めた。染色体検査にて提出細胞20個のうち4個の細胞に8番染色体トリソミーを認めた。汎血球減少の原因として銅欠乏を想定し、中心静脈から微量元素の補充を行ったところ、WBC、Hb、Pltは回復した。有核細胞数、M/E比の低下および赤芽球の増加を認め退院となった。約5ヵ月後の再診では末梢血数は、WBC、Hb、Pltは安定し、血清銅は基準範囲内であった。染色体検査を行ったところ、20個のうち8個に8番染色体トリソミーを確認した。
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