発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012318858
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症例は65歳男性で、嗄声を自覚し、近医で経鼻ファイバーを施行されたが、声帯に異常は指摘されなかった。下肢冷感のため近医を受診し、頸動脈エコーで左甲状腺内に腫瘤性病変が認められた。精査目的で紹介受診し、大動脈置換術後でwarfarin potassium内服中であり、heparin sodium下での甲状腺穿刺吸引細胞診を施行した。細胞診では扁平上皮細胞を認め、濾胞上皮細胞は殆ど認めなかった。頸部エコー所見より甲状腺左葉の腫瘤は食道癌の浸潤或いは食道憩室を疑い、頸部CTを行った。甲状腺と境界が明瞭で、甲状腺左葉を圧排し内部に空気を伴う軟部影が認められた。食道と連続しており、食道憩室の可能性が考えられた。上部消化管内視鏡検査と食道の透視を行い、Zenker憩室と確定診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012