発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008196555
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41歳男。頭痛、筋肉痛と発熱が出現し、近医で梅毒を疑われampicillin(ABPC)を処方されたが自己判断で2日後に服用を中止し、4日後に発熱と咽頭痛を主訴に当院受診入院となった。扁桃炎を疑いABPC点滴で入院4日目に軽快退院したが直後から発熱、頭痛、全身倦怠感と下痢の出現で救急入院した。口蓋垂軽度発赤、CD4陽性リンパ球は低値でCD4/CD8比は0.4で肝胆道系酵素値の上昇を認めた。患者の背景因子よりHIV感染を疑い血中HIV-RNAの高値とCD4の低値を認めた。HIV陽性だがAIDS指標疾患は発症せず、伝染性単核球症様の症状を呈したが、EBV、CMV陰性により急性HIV症候群を疑った。髄液中のHIV-RNAの高値より髄膜炎についても急性HIV症候群の一症状の可能性が高いと考えた。症状は自然軽快傾向を示し、外来での経過観察とした。髄液中HIV-RNAは陰性化し、血中HIV-RNAも低下し、前医でのWB法HIV抗体測定は陰性であった。初診より6ヵ月後現在、抗レトロウイルス療法は行わず経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008