発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011345507
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74歳女。関節リウマチ(RA)に対し5年前からmethotrexate(MTX)、約4ヵ月前からetanercept(ETN)を処方されていたが、発熱が出現したため、整形外科でcefcapeneが処方された。また、ETNは中止されたが、発熱が持続するため当科紹介となった。咳嗽はあるが痰・呼吸苦はなく、両側背部でcoarse crackleがあり、明らかな皮疹は認めなかった。胸部単純X線では、ETN導入前に比較して両下肺野の軽度の透過性低下、HRCTでは両側びまん性に斑状のスリガラス影と浸潤影を認めた。気管支肺胞洗浄液のグラム染色・抗酸菌塗抹・TB-PCRは陰性であった。MTXを中止とし、ceftriaxone(CTRX)の静注を行うが改善なく、ETN導入前後のβ-D-グルカン(BDG)を比較したところ、導入後が上昇していることが判明した。以上のことから、ニューモシスチス炎(PCP)の可能性が高いと判断し、trimethoprim・sulfamethoxazole(TMP-SMX)内服とメチルプレドニソロンを追加した。第6病日にP.jiroveciのPCRが陽性と判明し、PCPと診断した。その後解熱したが、一時的にTMP-SMXの副作用が出現したため減量して再開することで、問題なく経過し退院となった。CTでも両側のスリガラス影の消褪を確認した。
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