呼吸器感染症2010 新たな脅威と必要な新知識
免疫抑制状態のときに注意するべき呼吸器感染症 ニューモシスチス肺炎
大石 展也
1
1東京大学医学部附属病院 呼吸器内科
キーワード:
PCR法
,
気管支肺胞洗浄液
,
経口投与
,
肺炎-ニューモシスチス
,
Trimethoprim-Sulfamethoxazole
,
静脈内投与
,
Pneumocystis
Keyword:
Administration, Oral
,
Bronchoalveolar Lavage Fluid
,
Pneumonia, Pneumocystis
,
Pneumocystis
,
Polymerase Chain Reaction
,
Trimethoprim, Sulfamethoxazole Drug Combination
,
Administration, Intravenous
pp.835-841
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021273
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今年はPneumocystisが発見されて100年目の節目を迎えるが、いまだに人工的な培養が不可能であり、遺伝子解析から生物学的な解明が進められている。肺炎のない免疫能低下患者だけでなく、慢性肺疾患患者や健常者の肺からもPneumocystisが検出されている。臨床症状・画像所見に加え、呼吸器検体から顕微鏡的にPneumocystisを検出できれば確定診断となるが、PCR法による検出や血清1,3-β-D-glucan高値も有用な所見である。治療は、trimethoprim/sulfamethoxazole(TMP/SMX)が第一選択であり、低酸素血症を伴う中等症~重症例では、副腎皮質ステロイドの併用を行う。HIV感染以外の多彩な免疫抑制患者が増加しており、ニューモシスチス肺炎(PCP)の可能性を常に念頭に置きつつ、ハイリスク症例においてはTMP/SMXを中心とする予防を行う必要がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2009