発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010296344
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58歳男。患者は右上下肢の痺れが出現し受診、左視床のラクナ梗塞で入院となった。1ヵ月半後に左上が見えにくいと感じたが、症状は15分程度で消失した。比較的若年であることから家族歴の存在が疑われ、FLAIR画像の所見では側頭部にcerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy(CADASIL)に特異的な2つの、U-fiberを含む白質病変とsubcortical lacunar lesionsが同時に確認された。更にMRI T2強調画像では視床と基底核に微小出血がみられ、CTでは淡蒼球と歯状核の石灰化が認められた。以上、これらの所見より本症例はCADASILを強く疑われ、Notch 3遺伝子検索を施行したところ、Cys93Tyr変異が確認された。治療はAsprinより脳出血合併率が低いとされるcilostzolを再発予防として選択されたが、その結果、8ヵ月の経過観察期間中に1度ラクナ梗塞を再発し、ibudilastが追加投与された。尚、検索した限り本症例は我が国における初のCys93Tyr変異CADASILの報告であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010