発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010296345
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40歳女。患者は発汗、四肢の痺れ、意識消失発作を主訴に近医を受診、空腹時低血糖、高インスリン血症、腹部CTで肝に多発性の低吸収域が認められ、肝生検にて神経内分泌腫瘍と診断された。その後、悪性インスリノーマが疑われ、精査加療目的で著者らの施設へ転院となったが、尿中CPRは低値で、HbA1cは4.6%であった。一方、CTでは大動脈周囲リンパ節の腫脹みられ、低血糖予防のために高カロリー輸液を施行しながらoctreotideが試みられたが効果がなかった。そこで、肝の最大転移巣に対して塞栓療法(TAE)を施行したところ、インスリン値は低下傾向を示し、血糖は上昇傾向となった。更に尿中CPR低値の原因としてあったプロインスリンの高値も、TAE後には低下傾向を示した。以後、血糖維持目的にdiazoxideを投与し、血糖値は正常値を維持できるようになり、高カロリー輸液を中止し、腫瘍に対しては化学療法が行われた。患者は退院後も数ヵ月間にわたり外来通院していたが、初診後250日に死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010