発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009299277
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77歳女。左膝関節症、骨粗鬆症、陳旧性ラクナ梗塞、陳旧性肺結核にて近医通院中、発熱が出現し、抗生物質等を処方されるも効果なく、その後左股関節~腰部の疼痛が生じ起立・歩行困難となった。入院時、意識レベルJCSI-2で、項部硬直・ケルニッヒ徴候・尿閉を認め、独力での起立保持は不能であった。検査所見は尿ケトン陽性以外に異常はなく、脳波の基礎律動は6~7Hzのθ波で、間欠的にδ波が全般性に出現し、髄液検査では単核球優位の細胞数増加と蛋白増加、糖低値を認めた。経過・理学所見・髄液所見より、亜急性髄膜炎と診断した。臨床症状は次第に悪化し、意識レベルの更なる低下や四肢にミオクローヌスの出現を認めるようになった。血清および髄液のアスペルギルス、カンジダ、クリプトコッカスの抗原は陰性であったが、偽陰性である可能性を考え、髄液の(1→3)-β-D-glucan値を測定したところ600pg/mlを上回る異常値を示し、真菌性髄膜炎と診断した。第12病日よりvoriconazole点滴を開始したところ、第16病日には微熱とミオクローヌスは消失し、第20病日には意識障害もなくなり、脳波も正常化した。第23病日には髄液(1→3)-β-D-glucan値は正常化し、第30病日には独歩可能となり、第41病日に退院した。
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