発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009247963
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23歳女。3年前にバセドウ病と診断され、thiamazole内服で甲状腺ホルモン値は正常に保たれていた。約1年前より下肢に紫斑が出るようになり、出現頻度、大きさが増加したため当院受診した。四肢に点状出血があり、最大径3cmの斑状出血の散在を認めた。検査所見で血球数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間に異常はなく、出血時間は延長していた。血小板粘着能は低下していたが、ADP、コラーゲン、エピネフリン添加による血小板凝集能は正常であった。凝固第VIII因子、von Willebrand因子(vWF)抗原量とvWF活性は再現性を持って低下していた。凝固第VIII因子インヒビターやモノクローナル蛋白は検出されず、甲状腺ホルモンは正常、vWFマルチマーは正常パターンであった。出血性疾患の既往や家族歴がないことより、後天性von Willebrand症候群と診断した。四肢の紫斑以外に症状はなく、トラネキサム酸を処方したところ、少数の点状出血を残して斑状出血は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009