発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009138557
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76歳男。脳梗塞による左片麻痺の既往があり、2年前に右下肢の運動障害出現で受診し、頸動脈は右100%閉塞、左90%狭窄、椎骨動脈は右100%閉塞、左95%狭窄の4枝有意狭窄病変であった。頸動脈内膜剥離術を拒否し、降圧薬と抗血小板薬で加療されたが4ヵ月前より顕著な記憶障害、暴飲暴食、易怒性で受診した。高度の認知障害、糖尿病、脂質異常を認め、従来の降圧薬と抗血小板薬の投与を継続し、糖尿病1200kcal食と禁煙を行い入院後1ヵ月に易怒性は消失し、HDS-Rは11点から13点と改善し、血糖とコレステロールも著しく改善した。入院後3ヵ月には性格は安定しHDS-Rは21点とさらに改善したため1400kcal食へ、1年後には1600kcal食と変更した。ドプラエコーで入院時には左内頸動脈90%狭窄し遠位への連続性に乏しかったが1年3ヵ月後には明らかに幅の広い血流の連続性と血管壁プラークの著明な退縮を認め、Bモードエコーでは狭窄率47%と著明な改善を認めた。プラークが全体的に均一で低~等輝度で石灰化が少ないため粥腫の退縮が容易であったと判断した。
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