発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005251887
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88歳男.意欲低下,失禁,すり足歩行などが徐々に進行した.頭部CT,MRIでlacuna梗塞を多発性に認め,脳血管性パーキンソニズムの診断でaspirinとlevodopa/carbidopa投与が開始された.5ヵ月後に左下肢を突っ張り,左半身をぴくつかせる動きが出現し,呼びかけに反応しなくなった.頸部と左上下肢にミオクローヌス様の運動を認め,痙攣重積状態と考えDiazepam,phenytoinの静注を行い症状は消失した.頭部CTで出血を認めず,拡散強調画像(DWI)は右頭頂葉から後頭葉にかけて高信号を呈した.脳血管障害を否定できず,edaraboneを開始し,翌日に左片麻痺が明らかとなった.第7病日のMRIで脳室拡大と多発性の虚血性病変に加え,右上頭頂小葉に5×4mmのT1,T2強調像で高信号の病変を認め,DWIでは一部高信号を呈した.gradient-echo法によるT2*強調像で同部は明瞭な低信号を示し,大脳皮質下白質に84個,大脳基底核に9個,脳幹に9個の低信号小病変を認めた.この時点で左片麻痺はほぼ消失し,現在はリハビリテーションを施行している.第29病日のMRIでは右頭頂葉病変は縮小し,中心部はT1強調像で等信号,辺縁はT2強調像で低信号を呈した
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